LAMU の考察 Blog『すずめの戸締まり』

新海誠監督作『すずめの戸締まり』の関連情報の紹介と、本編の考察を綴る LAMU 最後のブログ

ミニ考察⑥⑦ 千果が話す「男の子論」と家族の反応 他

読者の皆さま、お久しぶりでございます。

約7ヶ月ぶりに、自ら本ブログを通し読みしてみて、久々に記事を投稿してみようと思いました。気まぐれ的な記事ではありますが、鈍足なりに綴ってみよう、書ける処まで書いてみよう ... という気持ちの余裕が、ちょっとずつ生まれてきたのかもしれません。亀の一歩ペースで踏み出します!

 

※ ここからは ♪ カナタハルカ ♫ を BGM に流しながらお読みください・・・ 💁

   

ちょこっと気になる一コマ ⑥    千果が話す「男の子論」と家族の反応

 愛媛に渡った鈴芽は、民宿を営む海部(あまべ) 家の娘:女子高校生の千果(ちか) と出会います。彼女が通ったという廃校の正面玄関が「後ろ戸」となり、そこから噴き出したミミズを戸締まりして地震を防いだ鈴芽は、その後イス姿の草太とともに、千果の民宿でお世話になります。あの夜更けの時間帯に、気味が悪くなりそうな立入禁止区域のバリケード手前で、千果はたった一人、鈴芽が戻るのを待っていました。「『鈴芽』っていうあの同い年のコ、いったいこんなトコ来て、何しとるん? それに急用って何なん?」「ネコ一匹捜すのに、わざわざ九州から来んやろう普通? 不思議なチビイス抱えてるわ、みかんの雪崩受け止めるとか、マジ魔法使いの域なんやけど・・」そんな疑問を一つ一つ反芻しながら、ひたすら鈴芽が廃墟から戻るのを待った千果の様子が容易に想像できます。そんな彼女は、泥だらけの鈴芽を目にしても多くを問わず、泊まる場所は未定と答える鈴芽をわが家の旅館へと招き入れるのでした。

    まず初めに鈴芽を旅館の広い浴場へ通した千果は、その間に、客用に出す夕食の御膳を、あえて自分用と鈴芽用の2人分用意しました。鈴芽の分だけ御膳を用意してしまったら、きっと鈴芽は恐縮するだろうし、この際ウチも客用の御膳で食べてみよっと! 鈴芽からいろいろ話を聴き出したいし、私もしゃべりたいし ...。そんな千果の申し入れを、快く受け止めてくれた両親の人柄が垣間見えますよね。ホントに心優しい御家庭です !!! 仲居姿の千果は、家族で営んでいる民宿業の配膳・下膳を一通り済ました後、湯上がりの鈴芽の部屋に御膳を運びます。そんな心遣いに感極まってくる鈴芽は、焼き魚の白身を一口頬張るや否や、つい涙を流してしまいます。「おいっしいぃ・・・!」目頭に涙を溜めている鈴芽を見て「ええっ、鈴芽あんたちょっと、泣いとらん !?」「だって、おいしすぎて・・・」ここまでストレートに感動を示してくれる鈴芽の純朴さに、心を打たれた千果も、鈴芽に対する興味・関心から「感心」へとモードチェンジしたのが、この夕食のシーンかと思われます。

     腹ごしらえを済ませた二人は、浴場の掃除に勤しみます。千果の話は作業中ずっと止まらず、手も足腰も止めずにタイルを磨く鈴芽は、耳に入ってくる千果の彼氏とのリアルな話や「男の子論」に、驚き交じりの相槌を返します。

 

※ この後の内容は、随時記事を更新していきます。

 

 

ちょこっと気になる一コマ ⑦    愛媛に里帰りしていたルミと幼い双子

《折をみて更新していければと思っております》

 

 

 

画像出典:すずめの戸締まり 製作委員会

動画出典:RADWIMPS Official Music Video

 

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すずめ通信 [5月" 最終 ”号] 終映まであと僅か!

 

終映!国内の最終興行収入は?

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今月27日、ついに終映!

   

おわりに 〜 おことわり 〜

    先日、考察の時間や意欲の確保に努めてまいりますと読者の皆さまにお伝えいたしましたが、当方の職務環境が月毎に変わり、今春からまた一段と業務が増えてしまいました。

    コロナ禍の終焉の影響とはいえ、本来なら歓迎されるべき環境の変容のはずなんですが、私個人のライフサイクルが追いついておらず、とてもじゃないですが、考察時間の余裕や意欲を創出する状況にありません。

    そのため『ミニ考察⑥⑦ 千果が話す「男の子論」と家族の反応 他』以降の記事の作成が、全くもって止まっております。

     私用の都合で大変申し訳ございませんが、一旦考察記事の連載を無期限で停止させていただきます。記事の更新に気を留めて下さっていた読者の皆さま何卒ご了承くださいませ。          LAMU 😎

 

 

情報出典:MANTAN WEB、IT media NEWS           

画像出典:「すずめの戸締まり」製作委員会

動画出典:RADWIMPS Official Music Video

 

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すずめ通信 [3,4月号] 今春の関心事 " WBC ” &『すずめの戸締まり』興行成績他

はじめに 〜 おことわり 〜

    先日まで公開しておりました『ミニ考察⑥⑦ 千果が話す「男の子論」と家族の反応 他』の記事は、私用の都合で長い間未更新の状態が続いたため、一旦記事を取り下げ、下書き状態で完成を目指します。記事の更新を気に留めて下さっていた読者の皆さまには、大変失礼いたしました。考察の時間や意欲の確保に努めてまいります。その間、久々の情報発信ページ『すずめ通信』をお楽しみください。

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今春の関心事 " WBC

☝(左から) 大谷、ダルビッシュ、ヌートバー 💕

 ⚾ WBC 🏏、日本が7戦全勝で優勝しました!14年ぶり3大会ぶり3度目の世界一! 侍ジャパンの選手・監督・スタッフ、そしてわが国のみなさん!ホントにホントに、おめでとうございま〜っす! いっぱいいっぱい、勇気や元気、希望、そして日本を誇りに思う嬉しい感情までいただきました! 特に昨日の準決勝メキシコ戦は、野球の面白みを凝縮したような歴史的な名試合でしたよね。語り出したら止まらない感謝感激の日々!こりゃ間違いなく WBC ロスになりますわ。

2023年3月下旬の興行成績

2023年4月下旬の興行成績

👆 中国での興行収入は、日本のそれをすでに超えたようで、中国で上映された日本アニメの中では、ダントツトップの興行成績なんだとか! 踏切がある風景やキャラ弁、女子高生の制服、飼い猫、昭和歌謡、日本の地方都市、東日本大震災、育ての叔母との関係等々、中国の SNS 上で書き込み満載なんだそうです。これら関心度の高さが、記録的・爆発的なヒットに繋がっているんでしょうね。

そして5月27日、ついに終映 〜 4月26日公式発表 〜

   

おわりに 〜 新海監督の想い 〜

👆 新海誠監督の生の声を端的に記録し、考察が纏められている良い記事だなと思いました。そのため、本作に関する LAMU 自身宛の記録という意味で、全文引用のまま、このページに添付いたしました。MANTANWEB の編集者さま、感謝申し上げます。

LAMU からのお知らせ

🌈 LAMU の考察交流ブログ『天気の子』(2019) ☔ https://lamu.hatenadiary.com/lamu.hatenadiary.com 👆こちらのブログは、2023年5月5日(金) 00:00 をもって公開を終了し、投稿記事を全て凍結、ブログを閉鎖する準備に入ります。ここ数ヶ月のアクセス数が0件/日という現状で、今後はブログ内容をデータ化して「はてなブログ」から取り出し、他のブログへの移設もしくは電子書籍化すること等を検討しております。ダイジェスト版と言いますか、本ブログの下記ページ 👇 にて『天気の子』をめぐる考察交流の片鱗に触れることができます。ぜひ覗いてみてください! これまでのご愛顧を誠にありがとうございました。               管理人 LAMU 😎 lamu.hateblo.jp                                                      描画:LAMU

    これにて、私 LAMU による

        『天気の子』ブログの扉を

             締めさせていただきます。

 

 

情報出典:デイリー、

                     Twitter 映画予報、

                     ORANGE IRO、

                 「すずめの戸締まり」

                                 製作委員会

引用出典: MANTANWEB 編集部           

画像出典:@Shibu-mun さん

動画出典:RADWIMPS

                    Official Music Video

                    東宝 MOVIE チャンネル

 

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ミニ考察④⑤ 宮崎言葉に染まらず、標準語を話す鈴芽 他

 

 3月11日14時46分。12年前の今日、日本にいた全ての人が、怯え嗚咽し、自分の身の安全・愛する家族の安否・祖国日本の行く末を危惧しました。あの東日本大震災が遺した悼み・祈りの心で、今なお不自由な暮らしをしてみえる被災者、遺族の方々に、慰めと励ましが最適なカタチで届きますように。

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ちょこっと気になる一コマ ④    宮崎言葉に染まらず、標準語を話す鈴芽

 この 👆 シーンは、初見から違和感を覚えておりました。叔母の環が話す宮崎弁の訛りが強いのに対して、鈴芽が話す言葉は全くと言って良いほど訛っておらず、ほぼ標準語でした。草太と坂道で初対面した後、列車の通過待ちをしていた踏切で、友達の絢から赤面を指摘された鈴芽が「(え!今、私の顔) 赤い?」と返事した時のみ、少しだけ訛りっぽさを感じましたが、それ以外は宮崎放送のお姉さんキャスターのような、きれいな標準語を話す鈴芽でしたよね。一体それはなぜなのか …。はじめは、大震災で母を失ったトラウマで極度な自閉状態に陥り、その結果、地元言葉に染まることなく、12年の歳月が経過したかと思っていました。

 しかしスピンオフ小説『環さんのものがたり』では、以下のように回顧録が記されています。

「誰にでもにこにこと笑いかける鈴芽がどこかおかしいと気づいたのは、九州に連れてきて数週間も経ってからだった。

 外から家に帰ってきても、『ただいま』を決して言わないのだ。

 私が家に帰っても、決して『おかえり』と言ってくれないのだ。

 その理由は分かる。もちろん分かる。そんなに簡単に私たちが家族になってしまったら、お姉ちゃんだってきっと悲しむだろう。いずれ時間が解決してくれることだと思う。でも、笑顔とは裏腹の彼女のその頑なさが、私にはやはりとても辛かった。」(p.8,9)

 鈴芽にとって母を亡くした影響は無論大きいのだけれども、五歳の誕生日を迎える約二ヶ月前から、突然叔母の環との二人きり生活が始まり、そこからの12年間、彼女との心の距離を図る決意の表れとして、鈴芽は地元言葉を使わなかったのかと推察するに至りました。「環さんは私の保護者になってくれた人だけど、当たり前なんだけど、私のお母さんではない。だって、私のお母さんは岩戸椿芽。お母さんは、よく夢に現れて、私の名前を呼んでくれて、いつもそばにいてくれるんだから。環さんは私の唯一の肉親だけど、叔母さんでしかない。だから、宮崎は私の故郷じゃないし、ここは私の家じゃない!」とでも言わんばかりに …。

 きっと心の奥底ではそう思い続け、鈴芽は幼少期から思春期まで過ごしてきたのでしょう。そしてあの三脚の子ども椅子は、母が遺した唯一の形見であるからこそ、鈴芽は決して捨てることなく「すずめの友」「すずめの分身」として常に自分の部屋で大事に扱ってきたんだと思います。ダイジンによって、その唯一無二の子ども椅子に草太の人格が入ったとあれば、そりゃ鈴芽にとって、彼は急速に特別な存在になっていくわけですよ。

 余談になりますが、『環さんのものがたり』によると、鈴芽の家出について、環は「あの椅子が鈴芽を連れていったのではないか」(p.13) と想像したとあり、「あの日、家ごと流されてしまったはずのあの椅子を、鈴芽はどこで見つけたのだろう」(p.9) と、かねてより不思議に思っていたそうです。さらに「脚の一本欠けたあの黄色い椅子は、もしかしたら本当に、どこか別の場所に繋がっていたのかもしれない。あの世だとか異空間だとか、そういうわけの分からないうさんくさいような場所を経由して、鈴芽の手元に戻ったのかもしれない」(p.21) と想像してみたうえに、東京は御茶ノ水にいる鈴芽を迎えに行く新幹線の車内で「あの椅子に鈴芽は奪わせない」(p.8)、「出来ればすこし眠って、決戦に備えるのだ」(p.13)「…… 負けんかいね、私だって」(p.22) と、徐々にボルテージを上げている様子が描かれていました。

ちょこっと気になる一コマ ⑤    草太の傷の手当てが熟れていた鈴芽の心得 

 岩戸椿芽が東日本大震災による津波災害で行方不明になったのは、鈴芽が四歳の時でした。母親が看護師として病院で勤務していたと鈴芽が知っていたのは、常世に迷い込んだ幼き鈴芽のセリフから判りますよね。ただし、傷の消毒や包帯巻きなど、高校生の鈴芽が草太に施した手当ての手際は、四歳当時の彼女では行えなかったはずです。例えば、鈴芽が転んで擦り剝いた傷を手際良く応急処置してくれた母親に対する記憶は、それなりの頻度であったとはいえ、手順までつぶさに覚えていたなんてことはおそらくないでしょう。すなわち、母親の椿芽を色濃く思い出すきっかけとして、看護師への憧れが潜在的にあり、ナーシングケアの実技については、普段から独自で練習していたのではないかと推察されます。思えば、鈴芽の部屋に『看護師になるには』という手引書が置いてありましたね。

 

 

引用出典:スピンオフ小説「環さんのものがたり」

画像出典:すずめの戸締まり 製作委員会

動画出典:Bee Add − Open Space −

 

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ミニ考察 ②③ 草太が座っていた三本脚イスと「だいじ缶」他

 

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ちょこっと気になる一コマ ②    草太が座っていた三本脚イスと「だいじ缶」

 この 👆 の草太が座っている子どもイスの脚は一本欠けており、鈴芽が階下から救急箱を持ち出して来る間、草太は「すずめのだいじ」と書かれた赤い缶を脚の代用にして使っていました。この光景は一際シンボリックな印象を受けましたね。新海監督曰く、三本脚の「すずめのいす」は、震災の傷の象徴であり、お母さんが亡くなってしまったという鈴芽の心の傷の象徴とのこと。その三本脚の椅子をずっと抱えながら鈴芽は旅をしていくわけですが、三本脚であっても椅子になった草太は立つことが出来る。走ることも出来て、鈴芽がその上に座ることだって出来るのです。鈴芽も私たちも、欠けたままの心であっても生きていけるんだってことを、新海監督は視聴者に伝えたかった (「新海誠本2」p.9 一部改変) ようです。なので、まだ人としての草太が「すずめのいす」に座るとき、傍らにあった「すずめのだいじ缶」を四本目の脚にしたというのは意義深いですよね。

 ちなみに「すずめのだいじ缶」はもう一つあり、東北の自宅庭から鈴芽によって掘り出されました。絵日記は宮崎のほうの缶には入ってなかったのですが、どちらの缶も鈴芽のこころを表していて興味深いところです。被災直後、当時4歳だった鈴芽が自宅の跡地に穴を掘って埋めたとされる東北のほうの缶箱と、環と過ごすようになってから集めたであろう宮崎の缶の存在。鈴芽が肌見放さず東北から持って来れたのは唯一、三本脚の子どもイスのみ。後にダイジンによってその椅子に姿を変えられる草太は、欠けた脚の代わりに宮崎の缶を使って座っていたことから、草太の存在そのものが、トラウマを抱えたまま12年の歳月を生きてきた被災者:鈴芽の心と等価である、あるいは鈴芽の成長の行く先で必然的に草太との出逢い (再会) があると受け取れ、感動いたしました。

ちょこっと気になる一コマ ③    陽菜・帆高が友情出演しない代わりの演出?

 劇中で『君の名は。』の挿入歌 ♪ 糸守高校 と『天気の子』の挿入歌 ♫ K&A 初訪問 が使われた本作『すずめの戸締まり』。これまでの新海作品には定番だったファンサービス:前作のキャラが友情出演するという粋な計らいが、今作では未だ確認されていませんよね。これはすなわち、前作の主人公である陽菜と帆高を出演させない代わりに、ファンには聞き慣れた挿入歌を使用することで、ファンにサービスしたということでしょうか? 私的にはそれもアリだと思っていますが。

引用出典:新海誠本2

画像出典:天気の子 フォトギャラリー

動画出典:Bee Add − Open Space −

 

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ミニ考察 ① 宮崎の立入禁止バリケード看板

ごあいさつ

 さぁ、みなさん。今日から来場者特典 第4弾『すずめの戸締まり 〜 芹澤のものがたり 〜』の配布が始まりますね 〜 。岩戸 環視点の前特典に続くスピンオフ小説「第2弾:芹澤 朋也 編」!私はこれまで4回鑑賞いたしました。前作『天気の子』は合計5回映画館に通いましたので、近日中に映画館へ足を運んで、5回目の鑑賞を予定しております。まさに新海監督が制作発表会見で言われていた「映画館へ行く目的となる作品にしたい」の言葉通り! 意外にも前々作は合計3回の鑑賞でしたから、LAMU としては映画館へかなり出向いているほうです (まんまと来場者特典に釣られてる感もありますが;笑)。今のところ本作のビジュアルガイドと Blu-ray/DVD を購入する気はなく、いつの日か、地上波で放送されたのを録画撮りして観るまでは、しばらくお預けにしておこうと思った『すずめの戸締まり』。なぜでしょうね …、 2011年の震災危機 (福島第一原発事故放射能汚染を含む) を、リアルタイムで目の当たりにしたトラウマの一種なのか。ジワリと重く、日本人の琴線に触れる記録映画とも言うべき今作は、伝わってくるテーマがストレートだけに、私にはストレスが多少強めの作品のようです。そのような気持ちとプライベートの環境変容が重なり、いよいよブログ活動に携わる意欲も余裕もなくなってきております。(結婚など) 私を取り巻く環境の変化とともに、2019年の頃とは時間の使い方がガラリと変わってしまいました。それでまた、考察活動の中断を思い立ったわけなのですが、ショートヴァージョンの記事なら投稿できるかもと考え改めました。しばらくの間、短編で記事をアップしていきます。 LAMU 😎

 

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時系列トピックス

ちょこっと気になる一コマ ①    宮崎の立入禁止バリケード看板

 この 👆 の立入禁止のバリケードを、鈴芽はハードルのように飛び越え、廃墟の温泉街に初めて足を踏み入れています。しかし、ミミズが後ろ戸から噴き出した際、鈴芽がもう一度同じ場所を走り抜けた時には、このバリケード看板は石階段の横に除けられていました。この現象を指摘する考察動画の中に、鈴芽より少し遅れて温泉街に入った草太が、この立入禁止の看板を通りの傍らに丁寧にどけて通ったと考察する意見がありました。しかし私は、鈴芽が一回目に立ち行った温泉街から学校へ戻るときに、あのバリケード看板をどけたと考えています。なぜなら「扉を探している」と話していた草太と温泉街で会えなかったので、まだ廃墟の温泉街に至る入口に辿りついていないと判断した鈴芽は草太を気遣い、道標の印として「立入禁止」と書かれたバリケードをわざわざ取り除いたのではないでしょうか。

おまけ動画

※ 主題歌 ♪ すずめ ♫ のデモ音源を聴き比べしてみてください … 💁 「You Tube で見る」を click !!!

   

情報出典:デイリー、すずめの戸締まり 公式、道の駅 大谷海岸Twitter

動画出典:Bee Add − Open Space −、スキナ

 

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マイ考察 [第3回] “ダイジン" 目線の旅路と “サダイジン" 登場の謎

  🐰ならぬ😺 (笑) ☝

新年明けましておめでとうございます。

いよいよ 2023 (令和5) 年の幕開けですね!

 つい先日3回目の映画鑑賞に行ってきました。特典第3弾のスピンオフ小説『環さんのものがたり』もゲットいたしました。新海誠監督の構想にあった本作の背景が如実に判る要素満載で、読み応え充分の内容になっております。まだ未入手の方はぜひ! 映画館に足を運んで手にしてくださいませ。

 

 さて、先月 12月25日(日) に興行収入が 100億円 を突破したと、公式サイトが発表してますね。現在 (1月22日現在) は 124.5 〜 125億円で推移しているようです。最終的な国内収入が一体どこまで伸びるのか非常に気になるところではありますが、145 〜 150億円辺りが妥当なラインではないかと、私 LAMU は勝手に予想しております。そして劇場公開終了から年月が経過するにつれ、本作内容の価値が改めて見直され日本の映画史に残るような気がいたします。

お知らせ【1月19日】

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“ダイジン" 目線の旅路 

 鈴芽と叔母の環が暮らす宮崎で、「西の要石」としてミミズの尾を釘づけ、地震を抑制していた大神こと "ダイジン” 。風貌が大臣っぽいと道行く人たちに可愛がれ、愛称が付けられた存在だが、要石としての認識は不十分だったようだ。知性は8歳頃の子どもって想定なのか、声を宛てた山根りんも8歳だそうだ。まぁ、子どもだからもっと遊びたい! と想う気持ちは解るし、むしろ何故、こんなに幼い存在が「要石」という大役を担ってしまったのかが気にかかる。

 鈴芽が後ろ戸をくぐり、現し世と常世の入口を3度行き来している時に、ひょっこり水面から姿を現し佇んでいた要石姿のダイジンは、その姿に気がついた鈴芽に向かって、何やら呟いていた。冒頭12分のみ放送された際のテレビ音声では聴き取りづらかったのだが、映画館のサラウンドスピーカーからはしっかりと不穏な語りかけが確認された。しかし何を言っているかまでは、判然としなかった。そんな奇々怪々な石像に何のためらいもなく手を差し伸べた鈴芽は、この時すでにダイジンに意思を乗っとられていたのかもしれない。後に述べるが、一瞬とはいえ環もサダイジンに憑依されていた。何はともあれ、要石を引っこ抜いてしまうんだよな … 鈴芽は。これでめでたくダイジンは自由の身となり、晴れて「暴れミミズ」のステージが整ってしまうわけだ。まぁ、仕方のない展開だったかもしれない。アメノウズメが天岩戸を開けさせて天照大神を外に出す … これがベースになってるのだから、鈴芽がダイジンを外に出してしまうのは宿命だったとも言える。

 鈴芽の両手に握られた無機質な石杭様のダイジンは、瞬く間に吸熱反応を起こして毛むくじゃらの生き物へと変化し、彼女の手から飛び出してセンタードームに溜まった水面の上を駆け抜けていった。その後の足蹠こそ「さすが! 神様」とばかりに鈴芽の身辺情報をつぶさに掴んで、彼女が住む部屋の窓際に、かつ、その日の鈴芽はかなりイレギュラーな帰宅だったにもかかわらず、ちゃんとタイムリーに出会えているのである。まぁ神様とか精霊等といった霊的な存在からすりゃ、こんなこと大して造作もないことなんだろう。挙げ句にこの日は閉じ師の草太が一緒にいたとあって、ダイジン的にはそりゃ「邪魔者」だったわけだ。鈴芽と2人きりで遊びたかった、つまり鈴芽との関係だけを築きたかったという純朴さで、ためらうことなく草太に「魔術」を発動してしまう。草太はこれを「呪い」と解釈していたが、私はあえて「魔術」と言っておく。

 草太の容姿を、鈴芽の母親の形見なる3本脚の子どもイスに変えたダイジンは、鈴芽と草太の元から逃げ出すわけだが、これは逃避どころか、むしろ確信犯的な誘き寄せ。草太を焦らして自分を追いかけさせ、同時に鈴芽を宮崎の住まいから出立させるのである。それはあたかも両者をおちょくってコケにするように、まんまと海を渡らせるのである。ダイジンからすれば、時代の流行を活用するのもお手の物で、巷の人間に Twitter やテレビ中継で自身の目撃情報を認知させ、具に鈴芽と草太に行き先を知らせているのである。初見で私は、ダイジンの役割を中盤まで見誤っていた。後ろ戸を開いてはミミズを現し世へ招き入れて、人々の暮らしや生命を踏みにじる災厄のトリガーと決めつけていたのだが、東京上空でのミミズ事変以降、クライマックスが近づくにつれて、ダイジンの純粋無垢な感情表出や、気遣いからの隠れた行動に触れて 180度認識を変えるに至った。なんやぁ、ダイジンってホンマはめちゃエエやつやん ~!てな感じである (二ノ宮ルミ風に)。

 愛媛では巡視艇や港場、駅中、電車の車内で姿を現し、目くるめく人々の関心を集めて、鈴芽や草太に、自身の居場所を伝える情報源がスマホであることを印象づけている。また四国から神戸に移動する際には、SNS 上での注目度を個人サイズの範疇からマスメディアが取り上げるほどの社会的な話題へと拡張することに成功している。しかもダイジンは、ミミズによる地震が愛媛の廃校で食い止められた直後に、鈴芽と草太の元に姿を見せ「まだまだこの先も試練は続くよ」と言わんばかりにわざわざ傍らまで来ているのである。「挑発」と捉えられ兼ねない言い草に、毎度誤解を被るダイジンだが、実はミミズを封じる手助けをしていたというパラドックスに、すっかり一本を取られた LAMU である。その日の夜のうちに、ダイジンは愛媛から徳島を経由して淡路島まで移動している。想像するに中長距離の運送業者トラックの荷台なり運転席等に愛想を振りまいて乗り込んで、長距離移動を難なく果たしたのだろう。あるいは自身の姿を見えなくしたり、無機物として認識させる魔術を発動し、特急列車にしれっと乗車し高速で移動していたりするかもしれない。何はともあれダイジンからすれば、思いのままに移動するなんて「お茶の子さいさい」なんだろう。この時ばかりは悲願がようやく叶って、思い存分自由を謳歌していたと思われる。

 さて神戸では、鈴芽とイスの草太を愛媛から乗せてきた二ノ宮ルミが経営するスナック『はぁばぁ』にて、「大尽」と名乗る客の横にダイジンが姿を表す。ルミの横でマイク片手に熱唱している真面目そうなメガネの男性こそ、バイトの女子大生クミが鈴芽に指摘した人:大尽さんで、ミミズが見える鈴芽の目には、その傍らでちょこんと鎮座するネコのダイジンが目に入った。この時、クミやルミには猫のダイジンが見えなかったようだ。かなりリラックスしている様子で、ネコ本来の仕草で股ぐらを舐めていたのだが (笑)。人間の視覚や認知機能を変幻自在に操れるダイジンこそ、まさに魔法使いってわけですよ、海部千果さん! この神戸でダイジンは、3つの重要なメッセージを残している。1つ目は今述べた魔法使い的な能力をダイジンが有しているということ。2つ目は「都市部で表れるミミズが地上に倒れたら『人がたくさん死ぬ』という予言」を、この後に起こる東京異変の伏線として、はっきり鈴芽に伝えている点である。そして3つ目は、イスの姿の草太に対して「要石の役目はもう草太に移している」と明確に告知している点だ。

 最終的に本作におけるダイジンの役割は何だったのだろうか。ダイジンは鈴芽を導き、ミミズを封じる手助けをしていたが、役割はそれだけではないと私は思う。仮に本作を「鈴芽と環の物語」として捉えてみるとダイジンの隠された役割が見えてくる。 結論から言うと、ダイジンは幼い鈴芽とシンクロするキャラクターだった。 ダイジンと鈴芽の関係は、鈴芽が発した「うちの子になる?」の一言から始まった。これは、環が鈴芽を引き取りに迎えに来たときの言葉とリンクする。その後、ダイジンは鈴芽から草太を奪うが、幼い鈴芽も環から婚期や自由を奪ってしまった。 極めつけは、本編中盤の互いを拒絶するシーンだ。鈴芽は東京:千代田区の皇居地下にて、草太を要石に変えたダイジンを強い言葉で拒絶する。一方、環はサービスエリアで、鈴芽に対する本心を吐露。(この後に触れる) サダイジンの影響があったとはいえ、鈴芽を拒絶してしまう結果となった。 ダイジンと幼い鈴芽の共通点は、どこまでも無邪気で、そこに悪意がない点である。一見悪役にすら見えるダイジンだが、行動原理は「鈴芽に対する好意」だけだった。ダイジンは、邪魔者 (草太) を排除することで、鈴芽とふたりきりになろうとした。 幼い鈴芽も無意識に、そして無邪気に環から大切なものを奪っていたのかもしれない。しかし忘れてはならないのは、「うちの子になる?」と発したのは環だったし、鈴芽だった。 このように、鈴芽は物語の中で環の半生を追体験している。表面上はイスになった草太と鈴芽のロードムービーだが、その裏では、ずっと環と鈴芽の関係性が描かれている。「ダイジン = 幼い鈴芽」と考えれば、理不尽に思えたダイジンの行動が理解できる。子どもという存在は、時に残酷で、時に理不尽なものだと言えよう。

“サダイジン" 登場の謎

 私 LAMU は現時点で3回本作を鑑賞した。「東の要石」である " サダイジン “ が、なぜ? どうやって? 抜けたのかが未だに謎だ。パラパラと幾つかの解説動画なり考察ブログに耳目を傾けてみたが、コレといったヒントを見い出せなかった。そのため、ここから述べることは LAMU の憶測であり、一つの解釈に過ぎないことをあらかじめ断っておく。

 はじめに、この黒猫ならぬ左大神ことサダイジンが登場した場所は、草太の祖父:宗像羊朗が入院している順天堂病院の病室の窓際だった。鈴芽が羊朗のもとを訪ね、常世に行ける生涯唯一の後ろ戸があることを彼から聞き、病室を後にした直後のシーンで、サダイジンは現れる。羊朗が「お久しゅうございますな。とうとう抜けてしまわれましたか..... あの娘について行かれますかな? どうかあとは、宜しゅうお頼み申す」と彼に話しかけており、このやり取りのシーンは公式小説に記載がないため、現在のところ映画館でしか見ることができない。この羊朗のセリフに関して、私なりの解釈を加えていく。まず判ることは、両者はかつて出会っているということ。おそらく常世で会ったと思うのだが、羊朗が要石としてサダイジンをミミズに刺したのか、あるいは閉じ師の集団の一員としてその業務に加担したのかは明確でない。ただ言えるのは、あの黒猫がつい先日まで東京の要石として役割を果たしていたと羊朗は知っており、まさに前日の夕刻、23区を震源とする地震の後にミミズの本体が上空でトグロを巻き、首都直下型地震の危機が迫っていたのを全身全霊で回避させようとしていたのだ。きっと病室、いや病院を抜け出し、途中で力尽きて路上で倒れたりしたのだろう。草太の友人:芹澤が草太の部屋を訪れ、ミミズに気がついた鈴芽とイスの草太が飛び出していくシーンで、微かに救急車のサイレンが鳴っていたのだが、それが羊朗の救急搬送だったと考えると、なかなか緻密な伏線描写で感服させられる。これは、羊朗のベッドが安全柵で四方を囲まれ半ば拘束されていたことと、担当医と看護師の会話「今日は落ち着いていて良かったですね」「昨日 (の羊朗さんの脱走や抵抗、盲言) はひどかった」のやり取りから一連の事態を窺える。

 では本題に行こう。要石だったサダイジンは、なぜ抜けたのだろうか? またどうやって抜けたのか? 何か外力が加わって抜けたのか、ひとりでに抜けたのか、あるいは自らの意志で抜け出たのかは、どうも本編を観ただけでは判別がつかない。そもそも、東京の後ろ戸となった皇居地下の城門は、どうして開いてしまったのか? このシーンは非常に謎が多い。全国の劇場で本作の公開が始まり、新海監督が全国行脚して舞台で挨拶されているが、その道中で開催されるティーチインの質疑応答でどなたかヒントを聴いた方がいらっしゃるなら、ぜひ教えていただきたい。とりあえずここから、私なりの見解でこの現象を解説してみる。

 西の要石:ダイジンが抜けている影響で、ミミズの尾は固定から解かれている。そのため、宮崎、愛媛、神戸、東京 ... と、各地の後ろ戸が開きやすくなっていた。ミミズは常世から現し世へと容易に出現できることから、各地で地震が起きやすくなってしまった。そこへまず首都直下型地震の前震が起こって、皇居の地下にある大きな城門が開いた。他地域の後ろ戸は、愛媛の廃校や神戸の廃遊園地のように、始めに人が体感できるか否か程度の微震があって、それが後ろ戸が開くトリガーとなっていた。千果がバイクでみかんを運んでいた際、知らぬ間にできていたアスファルトの地割れや、ルミのスナックで働くミキが気がついたグラスの中の氷の揺れなどは、後ろ戸が開く瞬間の前震を示唆しているのだろう。そこから猛然とミミズが溢れ出てきて、狼煙のように姿を現すと、ようやく鈴芽や草太たち閉じ師は後ろ戸の位置を視認できるようだ。東京:神田川の場合、そこ自体は廃墟ではないものの、前震の揺れで東の要石が抜け落ちてしまうほど、他のどの地域よりもミミズのエネルギーが強力だったと推察される。その勢いは、地下の城門が全開になっていたほどだった (余談だが、映像を見る限り、あの重そうな城門の扉を、女子高生一人の力でいとも簡単に締められるものか? と私はずっと気になっている。小説 (p.238) には微細な描写があり、納得がいくのだが)。 つまり要石一つでミミズの頭を固定していても、杭の土台どころか地盤そのものを破壊しうるエネルギー体の前では、何の役にも立たないということだろうか。芹澤の運転で、鈴芽と環が東北を縦断している際にも、小さな地震が立て続けに起こっていた。要石に成り立ての草太独りでは、今は多少踏ん張れても、今後あらゆる地震や災厄を抑えるなんてことは到底無理ってことでもあるのか。やはり、東西の柱 = 2つの要石のパワーバランスが整って初めて、ミミズ封じの効果は生まれるというセオリーなんだろう。草太の部屋のシーンで説明があった「ミミズと閉じ師の歴史」から読み解いてみた。

 加えて、同じく要石だったダイジンが、いとも簡単に鈴芽の手によって抜けた原因、すなわちミミズ封じの役目を放棄した背景にも、ここで触れておきたい。本ページの前譚冒頭で、ダイジンは要石としての認識が不十分だったと述べた通り、役目や宿命に対する覚悟に欠如があったからこそ、この度のミミズ封じの状況は、初めから不安定な状態だったと考えられる。新海監督が描く昨今の災害3部作の底流には『陰陽太極図』の思想が色濃く、陰と陽が互いを補完し合ったり、互いに変換し合えることで、万象の秩序が成り立つという定理が物語のベースになっている。それは本作のタイトルコールの画面にも表れており、冒頭12分の節目に出た画面は背景が黒、「すずめの戸締まり」の字色は白だった。対してクライマックスのラストに出た画面は、👇 にある通り、背景が白で字体は黒となっている。

 公開後からアップされている幾多の解説動画なり考察ブログを拝見していると「要石には有効期限がある」という解釈があったり、なかには「要石はもともと人であって、閉じ師の成れの果て」と解説するものがあった。確かに、天野陽菜を「天気の巫女、すなわち人柱」として描く新海監督なので、宗像草太を「地震を抑える要石、すなわち人柱」と捉えるのは自然だし、実際そうなんだろう。ただし私はそれらの解釈に加え、次のように理解している。それは「役目や宿命に対する覚悟の差こそ、有効期限の長さの差」であること。もはやこれに尽きるんじゃないかと。だから、東北のサービスエリアで環の背後に現れた巨大なサダイジンは、まず同業であるはずのチビ猫ダイジンと取っ組み合い、要石の役割を放棄した彼を諌めたんだと思う。また、片方を陽、もう片方を陰で表すなら、SNS やメディアで自身の存在を PR してきたダイジンは陽キャで、首都東京の地下で安全を支えてきた「縁の下の力持ち」のサダイジンが陰キャといったところだろうか。両者は、常世では体毛の色が互いに反転しており、恐らく性質まで反転しているのだろう。果敢にミミズに挑むのは、身体を白く変え巨大化したサダイジンであり、絶え間なく鈴芽の守護にあたっていたのが、黒く変化した小さなダイジンであった。

 また、陰の力を増幅するサダイジンに対して、陽の感情で生命力を増幅させるダイジンの比較を紹介していた解説者があり、同じく私 LAMU もそう思う。叔母の環が、姪の鈴芽に対して抱き続けていた負の感情は、(今回本編では使用されなかった) 野田洋次郎さんの楽曲♪ Tamaki の歌詞にあるように、相手の心を突き刺すナイフのような要素を含んでいた。言うなれば、鈴芽の心を抉って存在を殺めるほどの破壊力を有していた。それを現に本人の前で発言してしまう衝動力こそ、サダイジンのパワーだった。幸いにも鈴芽の傍らには対極的な存在のダイジンがいた。巨大妖怪のようなサダイジンを威嚇し、飛びかかったダイジンは、「うちの子になる?」と手を差し伸べられた同胞として、大好きな鈴芽の心も守ろうとしてきた。この辺りの環と鈴芽の心情の考察は、後日別の機会でスポットを当ててみたい。

 最終的にダイジンは、鈴芽を常世へ導く役割を果たした。そして鈴芽は、常世の丘上で凍てつくイスの要石:草太の魂に向かって叫び、必死に彼を引き抜こうとする。「(草太が現し世に戻れるなら、その代わりに) 私が要石になる!」と言う彼女の真意を知ったダイジンは、鈴芽の覚悟が揺るがないのを感じ取って「すずめのてで … (ぼくを) もとにもどして」と申し出た。「だいじんはね … すずめの子には … なれなかった」の言葉で私は泣いてしまった。このメッセージは環と鈴芽の関係にも投影できる。この二人は家族の関係だが、鈴芽は環の実娘には当然なれない。いや、むしろ過去の幼い自分(4歳の鈴芽) と出会って自身の境遇を受容できた今だからこそ、将来の自分にも希望の言葉を投げかけ、疑似的な母子関係を締めくくることができるのだろう。こうして鈴芽と環は、本当の意味で互いに自律していく。ダイジンも要石に戻る覚悟を固め、自ら元の鞘に収まってくれた。そして草太も無事に死の淵から生還し、鈴芽の元へ戻って来ることができた。めでたしめでたし。

 

 今回の考察記事はいかがでしたでしょうか? 初見では理解し難いテーマだったかと思います。どうか、他の方が述べられている解説にも目を向けていただき、皆さまなりに本作を深掘りしてお楽しみくださいませ。さて現在、当方が公私ともに多忙のため、次回から短編記事をアップしていこうと考えております。どうぞご了承ください。ではまた!

 

『すずめの戸締まり』公式サイト

   

情報出典:すずめの戸締まり 公式

                    映画 .com

動画出典:日本のキリン ch

                    東宝 MOVIE チャンネル

画像出典:すずめの戸締まり 製作委員会

 

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